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2021年10月01日(金曜日)
千葉県東庄町の気鋭書家そうせつの書下ろし作品を毎月掲載しています。
どうぞお楽しみください。
凡入報土(ぼんにゅうほうど)。
凡夫(ぼんぶ 私たちのこと)が報土(阿弥陀如来の極楽浄土)に往生するという意味です。
法然上人は、
「我、浄土宗を立つる心は、凡夫の報土に生まるることを、示さむためなり。(私が浄土宗を開いたのは、私たちが極楽浄土へ生まれることができるということを示すためです。)」
と仰いました。
すべての人々が平等に救われる仏教を探し求められた法然上人でしたが、 それまでの仏教の教えでは、凡夫がお浄土に往生するのはとてつもなく困難なことと説かれてきました。
しかし、唐の善導大師(ぜんどうだいし)が、阿弥陀如来の本願のお力に乗れば、凡夫でも極楽浄土への往生ができると主張されていたことから、法然上人はこの善導大師の理解を前面に押し出して、「凡入報土」を浄土宗の教えの根本とされました。
この作品は、言葉の意味をしっかりと受け取って、紙面を掘り進むような強靭な意志力のある線質で表現されています。計算された点画と、横長の字形によって安定感も生み出しています。