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2022年04月01日(金曜日)
千葉県東庄町の気鋭書家そうせつの書下ろし作品を毎月掲載しています。
どうぞお楽しみください。
「不取正覚(ふしゅしょうがく)」。
「正覚を取らじ」という言葉です。
「正覚」というのは、さとりを得て仏さまになることを意味します。
「正覚を取らじ」というのは、この願いが成し遂げられないのであれば私は決して仏とはならないという堅いお誓いをあらわしている言葉です。
阿弥陀さまは、菩薩のご修行時代に、苦しみの世界にさまよい続ける私たちを救うために四十八の願いを建てられました。この四十八の願いの全てに「不取正覚」の言葉が添えられています。
例えば、浄土宗のよりどころとなる第十八番目の願いはこのような内容です。
原文
「もし我(わ)れ仏(ほとけ)を得(え)たらんに 十方(じっぽう)の衆生(しゅじょう) 至心(ししん)に信楽(しんぎょう)して我(わ)が国(くに)に生(しょう)ぜんと欲(ほっ)して 乃至(ないし)十念(じゅうねん)せんに 若(も)し生(しょう)ぜずんば 正覚(しょうがく)を取(と)らじ
意訳
「もし私が仏となったならば、あらゆる世界にいる全ての者が、私の極楽浄土に往生したいと願い、南無阿弥陀仏のお念仏を称えたならば、全ての者を必ず極楽浄土へ往生させよう。もし一人でも往生できない者がいたならば、私は決して仏とはならない。」
このように、すべての願いには阿弥陀さまの力強いお誓いが貫かれています。
そして、阿弥陀さまは菩薩のご修行によってこれらの願いをすべて成し遂げられました。
だからこそ、阿弥陀さまの願いの通り、私たちはお念仏を称えれば極楽浄土へ往生させていただくことができるのです。
この作品は、楷書でありながらも点画に意志をつなげ、線に強靭な意志を感じることができます。