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2024年04月30日(火曜日)
来迎寺だより企画記事「住職に聞く浄土宗(全6回)」。 第1回目から第3回目までは浄土宗の基礎を「小学6年生からの疑問に住職が易しく答えるQ&A形式」と題してお届けします。
■ プロフィール
<住職> 来迎寺住職。日本スリランカ仏教センター蘭華寺理事長。
<るり> 猫と絵を描くことが好きな小学6年生の女の子。
浄土宗の教え(知識編③ 〜浄土宗を日常生活に応用する考え方〜)
浄土宗の教えを日常生活で実践することは、小学生にとっても大変有意義なことです。お念仏をとなえ、慈悲の心を育むことから始めて、友達や家族、そして自然との関係を大切にする生活を送ることが、浄土宗の教えを体現することにつながります。
「住職に聞く浄土宗」シリーズ第3回目となる本記事では、小学生でも応用できる浄土宗の考え方について展開しています。
こんにちは、今日はるりさんの身近にある日常生活を話題にして、お話していきましょうか。
はい、よろしくお願いします。
いま身近なところで気になっていることがあれば、ご自由に質問をどうぞ。
はい、早速ですが、前回お話を聞いた後、ふと思ったことなのですが、お念仏をとなえる時に、 特別な場所や時間って必要ですか?
お念仏をとなえるには、特別な場所や時間は必要ありません。心が向いた時や心静かになりたい時にいつでもどこでもとなえることができます。 ただ、朝夕など決まった時間にとなえようという習慣をつくると続けやすいと思います。
なるほど。では、友達とケンカしてしまったときに、浄土宗の教えに基づいて解決することはできますか?
浄土宗の教えを日常生活のいろいろな場面に生かすという視点は大切ですね。友達とケンカしてしまったときは、これは浄土宗に限った教えではありませんが、相手を理解し、慈悲の心を持つことを大切だと思います。ケンカは、 相手の立場に立って考え、話し合いで解決することが大切です。自分が悪いと思ったら素直に間違いを認め、謝る勇気も必要ですね。
わかりました。ほかには、失敗や失望を経験した時、浄土宗の教えでどのように前向きになれますか?
この世を生きているかぎり、失敗や失望はつきものです。浄土宗では、そんな時でも阿弥陀さま私たちを見守り支えてくれていると教えています。そう信じてお念仏をとなえ続けることで、前向きになって失敗や失望などの困難を乗り越える力が湧いてくればありがたいことです。
はい、そうでした!どんな時もお念仏をとなえることが大切なんでしたね!
ちなみにお念仏を称えること以外に、小学生でもできる浄土宗の実践はありますか?
私たちは自分ひとりの力では生きていくことはできません。浄土宗では「共生(ともいき)」という思想があります。これは、私たちは周りの人と共にこの世を生きているということと、ともに極楽浄土に生まれるという思想です。
この教えによって、日常生活で感謝の心を持つこと、例えば人に感謝する、食べ物に感謝するなど、小さなことから始めましょう。生き物や自然への優しい心遣いも浄土宗の教えに沿った行動といえます。
お話を聞いて、お寺や仏教がだんだん身近に感じられるようになってきました。私もお寺での行事などに積極的に参加してみようと思うのですが、小学生が参加する際の注意点はありますか?
お寺の行事に参加する際は、静かに行動し、周りの人への配慮を忘れないようにしましょう。また、行事の意味を学んで心を込めて参加することが大切です。 そして、挨拶は元気よく!笑
はい、わかりました!笑
お寺でお坊さんとお話しするときのマナーはありますか?
あまりかたく考えなくても大丈夫ですよ。学校の先生と話すときと一緒です。丁寧な言葉遣いを心がけ、お坊さんが話している時はしっかりと耳を傾けましょう。分からないことは恥ずかしがらずにしっかり聞きましょう。教えてもらったら感謝の気持ちを伝えることも忘れずに。
お寺へのお参りの仕方を教えてください。
お寺へのお参りでは、まず手を清め、心を落ち着けます。本堂に入ったら、阿弥陀さまの前に立って、胸の前で両手のひらと指をぴったりと合わせ、合掌をしてください。その際、45度の角度で斜めに保ちます。これを「堅実心(けんじつしん)合掌」といいます。そして南無阿弥陀仏のお念仏をおとなえしましょう。
浄土宗を学ぶことで、他の宗教に対する理解は深まりますか?
はい、浄土宗を学ぶことは、他宗教に対する理解と尊重の心を深めるきっかけになります。 浄土宗の教えはとても器が広いです。他宗教の価値観も尊重する気持ちになります。
お寺や阿弥陀さまに対する感謝の気持ちをどのように表せば良いですか?
感謝の気持ちは、日々の行動で表すことができます。例えば、お寺へお参りしたり、日常生活で浄土宗の教えであるお念仏を実践することが大切です。
小学校ではSDGsについて話をする時間も多いのですが、浄土宗の教えを生かして、環境問題に取り組むことは可能ですか?
もちろんです。これも浄土宗に限りませんが、仏教の精神では生命や自然への尊重と感謝の心を大事にします。この精神を生かして、環境を守る活動をしたりすることはとても価値のあることです。例えば、ごみの分別や、不要な物を使わない、自然に優しい生活を心がけることが挙げられますね。
(終)
※第四回「浄土宗の教え」は大人向けの実践編です。令和6年5月公開予定です。