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来迎寺だより

2024年03月20日(水曜日)

【来迎寺だより】住職に聞く浄土宗「小学6年生からの Q&A|002 浄土宗の教え(知識編-②)」

来迎寺だより|住職に聞く浄土宗シリーズ

来迎寺だより企画記事「住職に聞く浄土宗(全6回)」。
第1回目から第3回目までは浄土宗の基礎を「小学6年生からの疑問に住職が易しく答えるQ&A形式」と題してお届けします。

■ プロフィール

<住職>  来迎寺住職。日本スリランカ仏教センター蘭華寺理事長。

<るり> 猫と絵を描くことが好きな小学6年生の女の子。


Q)浄土宗で一番大切にされている教えとは?

こんにちは。今日は浄土宗の教えについてもう少しくわしくお話していきましょう。

(前回の質問)

  • 浄土宗ってどんな宗教なんですか?
  • 極楽浄土ってどんなところなんですか?
  • 悟りってなんですか?
  • 念仏をとなえるって何をするんですか?
  • 浄土宗のお寺にはどんな特徴があるんですか?
  • 浄土宗を信じるとどんないいことがありますか?
  • お念仏をとなえるだけでどうしてそんなにいいことがあるんですか?
  • お寺で学ぶことは毎日の生活に役立ちますか?
  • 浄土宗の信者になるにはどうしたらいいんですか?

はい、よろしくお願いします。 早速ですが、浄土宗で一番大切にされている教えについて、もう一度教えてください。

浄土宗では、法然上人が説かれた「南無阿弥陀仏」のお念仏の教えを最も大切にしています。お念仏をとなえれば、だれでもが極楽浄土へお救いいただくことができるという教えです。

阿弥陀さまがみんなを極楽浄土に救ってくれるんでしたね。でも、なぜそうなるんですか?

それは、阿弥陀仏さまが、苦しんでいる私たちのことをなにがなんでも救いたいと願ってくださったからです。阿弥陀さまは、私たちの悩みや苦しみを理解してくださり、その苦しみから救われる極楽浄土をご用意くださいました。極楽浄土は、阿弥陀さま自らが長く厳しいご修行を積み重ねて作り上げてくださった世界なのです。阿弥陀さまの深くて広いお慈悲(じひ)の心を感じますね。

阿弥陀さまはとてもお優しいです。 ところで、慈悲とは何ですか?

慈悲とは、一般的には他の人の苦しみや悲しみに共感して、楽にしてあげたいと願う気持ちを表す言葉です。浄土宗では、私たちを救いたいと願い、その願いをなしとげるためにご修行された阿弥陀さまの心とお姿を慈悲の最大のものとして受け取らせていただいています。

Q)浄土宗を広めた法然上人はどんな人?

浄土宗は、私たちの悲しみや苦しみの世界から幸せな極楽浄土へ救ってくれる宗教ということは理解できました。この素晴らしい教えを広めてくれた法然さんって、どんな方ですか?

法然上人は鎌倉時代の方で、学問をしたり修行をしたり地位や力のある方だけではなく、誰もが平等に苦しみや悲しみから救われるというお念仏の教えを説かれて、みんなに希望をくれた方ですよ。

阿弥陀さまの教えと、法然上人の教えは、同じなんですか?

阿弥陀さまは、私たちを救うために極楽浄土をご用意くださり、南無阿弥陀仏のお念仏をとなえることでみんなを極楽浄土へ救ってくださる「仏さま」です。法然上人は、たくさんのお経の中からその教えを見つられ、私たちに説いてくださった方です。
わかりやすく言うと、私たちを救ってくださるのが阿弥陀さまで、阿弥陀さまに救っていただけるという教えを説かれたのが法然上人ということです。

じゃあ、法然上人の教えにはどんな特徴があるんですか?

法然上人の教えは、南無阿弥陀仏のお念仏をとなえればだれでも極楽浄土へ救われるということです。前回お話しましたが、南無阿弥陀仏というのは、「阿弥陀さま、私を救ってください」という意味でしたね。浄土宗のお念仏は、阿弥陀さまのお名前を声に出して呼び続けることなんです。法然上人は、難しい修行をしたりしなくても、お念仏をとなえるだけでだれでも極楽浄土へ救われることを説かれたんです。

へぇ、それってつまり、難しい教えを、解りやすくしたってことですか?

お話がとても大事な部分になってきましたね。
阿弥陀さまが、私たちが極楽浄土へ救われるための方法に、誰でもができるお念仏を選んでくださっていたんです。でも、法然上人より前のお坊さんや仏教の学者さんたちは、その教えを見つけ出すことはできませんでした。でも、法然上人は、「誰でもができてみんなが救われる教えが仏教にはあるはずだ!」と信じて、長い間ずーっとお寺にこもって修行と学問をされました。そしてついに、誰でもができてみんなが救われる阿弥陀さまのお念仏の教えを見つけてくださったんです。つまり、簡単なお念仏を阿弥陀さまがご用意くださっていたということなんです。法然上人はそのことを亡くなられるまでの間、多くの方々に説き続けてくださったんです。

よくわかりました。誰にでもできて、みんなが救われるお念仏を阿弥陀さまが用意してくれていたんですね。どんな人でもチャンスがあるってことですね!

その通りです!
勉強ができるかどうか、運動ができるかどうかに関係なく、浄土宗の教えはみんなにチャンスがあるということですね。

Q)お念仏以外に、浄土宗で行うべき実践や修行はあるの?

お念仏をとなえることで、極楽浄土へ救ってもらえて苦しみから解放されると教えていただきましたが、お念仏以外に浄土宗で行うべき実践や修行はありますか?

これもすごーく良い質問ですね!
浄土宗の教えでいえば、いつか極楽浄土へ救っていただくために、まずはお念仏をとなえることがなによりも大切です。
ただし、この世を生きていく上では現実の生活がありますよね。仕事や勉強やボランティアなども大事ですよね。いろいろなことを頑張るのは大切です。でも、そういうことに価値を置きすぎてしまうと、うまくできないことで悩んだり苦しんだりしてしまうかもしれません。法然上人の教えで言いますと、お念仏をとなえながらほかのことはできる範囲でやりましょうということになるでしょうか。
るりさんは学校もありますし、毎日の勉強や部活などを頑張るのもやはり大切ですよ。

私は勉強や運動はちょっと苦手なんです(汗)。でも本を読むのは大好きなんです。

すばらしいですね! 好きなことはどんどんやりましょう。たくさん本を読んでくださいね。

はい! 学校の図書はたくさん読んでいます。こんど仏教の本も読んでみようかな。浄土宗で大事にされているお経や本って何ですか?

浄土宗の大切なお経は三つあります。
・無量寿経(むりょうじゅきょう)
・観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)
・阿弥陀経(あみだきょう)
法然上人が、仏教のたくさんのお経の中から阿弥陀さまのお念仏の救いや極楽浄土が説かれているこの3つのお経を浄土宗のお経として選んでくださったんです。お寺では毎日このお経をとなえていますよ。
大切な本や書物はたくさんありますが、法然上人が書かれた『選択本願念仏集(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう)』というお書物には浄土宗の教えが凝縮されています。私も機会あるごとに読んで勉強しています。

わかりました。ほかに住職さんのおすすめの本などがあれば教えてください。

私も本を読むのが好きなので、いろんなジャンルの本を読んでいます。よく読むジャンルは「生き方」とか「歴史」の本です。
マンガや絵本も良いと思います。有名な手塚治虫さんのマンガの『ブッダ』はお釈迦様のご生涯を知るのにはとても良いですね。
他にも、「仏教コミックス」というマンガのシリーズもありますのでぜひ参考にしてみてください。
一般的なマンガも生き方を学べるものがたくさんありますね。『鬼滅の刃』は私も読みましたよ。いろいろ大切ことが学べる作品だと思います。

<浄土宗が発行している法然上人の生涯や教えが学べるマンガもあります>

Q)阿弥陀さま以外にも、浄土宗で大切にされている仏さまはいますか?

阿弥陀さま以外にも、浄土宗で大切にしている仏さまはいますか?

そうですね。浄土宗では阿弥陀さまと両脇にいらっしゃる観音菩薩(かんのんぼさつ)さまや勢至菩薩(せいしぼさつ)さまも浄土宗の仏さまとして大切にしています。観音さまはやさしさがすぐれた慈悲の仏さま、勢至さまは賢さがすぐれた智慧(ちえ)の仏さまとされています。阿弥陀さまとともに極楽浄土にいらっしゃいます。
浄土宗以外にも、もちろんたくさんの仏さまがいらっしゃいます。浄土宗ではすべての仏さまももちろん大切にしていますよ。

へえ。やさしさと賢さを意識することって難しいけど、日々の生活の中で観音さまや勢至さまのことを思い出すようにすればいいのかな?

お寺やお仏壇にまつられている阿弥陀さまや観音さまや勢至さまをお参りすることで、優しさや賢さなどを思い出すことができればいいですね。そうやって毎日思い出しながら、人に優しくしたり、賢く行動するということにつながればすばらしいと思います。

はい、わかりました! 浄土宗をもっと知るには、どうしたらいいですか?

まずは、阿弥陀さまのお救いを信じて南無阿弥陀仏のお念仏を毎日となえましょう。浄土宗のお念仏はすぐに実践できる教えです。お念仏を実践していると、自然に仏教や浄土宗のことをもっと深く知りたくなりますよ。そうしたら、お寺にもどんどん遊びにきてくださいね。お寺ではいろいろなことを知ったり学んだりできますから。

(終)


※第三回「浄土宗の教え(知識編-③)」は令和6年4月公開予定です。